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そもそもなんでこんな話になったのだろうか。
ぼんやりとした頭の中でそんなことをぐるぐる考えながら、また眠りについた。
◆◆
僕はこの感情を憧れだと思っていた。
生徒の質問に答えれて、気まぐれな生徒達を宥めさせて、先生なら当然のことなんだけどそれができない僕は尊敬しているだけだと。
先生に名前を呼ばれて無駄に緊張したり、化学だけは勉強に励んだり、分からないところを必死に探して質問しに行ったり、そんな自分自身の異常行為の理由は憧れているから。
そう、思っていた。
あの人は僕の高校生活が二年目を迎えようとしているときに突然、いなくなった。
まさに変異な出来事。
いい先生だったのにとか、あの先生の教え方じゃないと分からねぇとか周りの生徒がそんな言葉を吐いてた中、僕は見えないところで泣いた。もう身体中の水分が全て無くなったんじゃないかってくらいに。
そのときに気付いた。
―――僕はあの人に憧れを抱いていたんじゃない。好きだったんだんだ。
三日後の放課後、意味もなく化学実験室の前に足を運んだ。
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