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自分の生活は、こいつに付きまとわれ、こいつ色に染まってしまった。いくら見た目が良いとはいえ、自分は宇宙人だとか言う奴に近づく奴はいないだろう。そのせいで、電波の隣によくいる、俺も電波だと思われているらしい。本当は付きまとわれているだけなのだが。お陰で悲しいことに友人の一人もできやしない。なので、この電波女といる時間が増える。更に友人ができなくなる。悪夢のループに囚われてから1年半。高校生活も半ばを過ぎて、友人作りはもはや諦めた。
HD189733bの色に似た青い瞳が、まるで引力を持っているかのように。地球の重力から抜け出せないように。その瞳に見つめられると逃れられなくて、断れなくなってしまう。そうしてズルズルと関係を保ったまま、今はもうこの関係性を楽しんでいる自分がいた。
まぁ、ハチャメチャな奴なのだ、地球の調査とか言って、朝の5時に電話で起こされ、いきなり旅行に連れられることも。夜の学校に忍びこんでミステリーサークルを描くことも。自転車で海に突っ込んでいくことも。大抵のことでは驚かなくなった。
確かに、見た目がよくて、青い瞳なんて自分を特別だと思っても仕方ないとは思うが、そういったものは中学生で卒業するものだ。
ついでに設定の作り込みも甘い。
「そもそも、宇宙人とか言うが、お前は日本の戸籍を持ってるだろうが。本名も思いっきり、青木八代とか、純日本人じゃねぇか」
宇宙人がどうやって高校に通うんだ。すると八代は得意気に。
「ふふん、それは偽名です。国籍とか、高校に通うための手続きは、こう、洗脳的な。原理は企業秘密で」
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