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「わけが、わけがわからない! 馬鹿馬鹿しい冗談も大概にしろ! だったらお前が宇宙人だとかいう証拠をだせよ! いつもはぐらかして、意味不明なことばかり言って、急にさようならとか言いだして……いい加減にしろよ。冗談だって言えよ」
「本当はダメなのですが、わかりました」
そう言うと、仕方なさそうに、哀しそうに、慈しむように、俺に手を伸ばし、優しく俺の額に触れた。
瞬間。
世界が吹き飛んだ。森羅万象が遥か遠くに飛ばされ、視界が白んで歪んで。体が引き伸ばされて引き伸ばされて、洗濯機にぶちこまれた様にグルグルグルグル。体の自由はきかず、世界はメリーゴーランドの如く回って。莫大な閃光と耐え難いG、引っ張られるような感覚が俺の体を電撃になって貫いていく。
「つぅあ! ……がぁっ!? ぐっ、あぁあ!」
頭が痛い。自分が何をしているかさえ分からない。何か、何かのイメージや記憶が入ってくる。無数のスイッチを操作して、光のような速度で飛んでいるような……。
そして、しばらくして。白い光が包んで、感覚が消え、視界が開けた。あらゆる音も、蝕む痛みも、重力さえも消失して。それは宇宙だった。宇宙空間に俺は漂っていた。そのことを知覚して、声にならない声を発しようとした時。
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