My Dear Blue

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My Dear Blue

 僕たちの船は、果てしない空間をさまよっている。ここは静かで、確かに闇に覆われているが、光が存在しないわけではなかった。無数の小さい光の粒を星という。遠くに見える星々の中に、その青い星はあるのだろうか。  人類の故郷、地球。  地球はほとんどが水に覆われた星であるという。その水を利用しながら、人類はわずかな陸で生活をしていた。星を覆う水を、人類は海と呼び、愛していた。星の青は海の色。水面は絶えず大きく揺れていて、陸に押し寄せる音はまるで鼓動のようだったという。さらに地球から宙を見上げると、海を映したかのような青色であったとか。宙の青を空といった。海と空、見渡す限りの青を僕は想像する。きっと言いようも無いほどの美しい光景だっただろう。人類が海を愛していたのは、生命を維持するのに水が必要だったからという理由だけではないだろう。人類は、その青色を愛していたに違いない。  僕たちの先祖は、気の遠くなる程遠い昔、故郷の星を出た。旅立ちの理由を覚えている者は、もうどこにもいない。記憶は失われてしまった。記録だって、長い時の中で何度曲げられ、何度切り取られ、何が守られ、いくつ生み出されたのかわからない。     
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