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「あんなにきれいだった海も、今じゃエヴァの世界みたいですもんね。」
世界から青が消えて本当に何もかもが変わってしまった
クールを演出していたあのアイドルのコーデも、今じゃ一変して熱血系。
WordがPowerPointに変わり文書を作るのにも一苦労。
ハワイアンブルーのかき氷は全部イチゴ味になったし、スーパーの牛乳は全部メグミルク。
「ねえ葛城。なんで空は青かったんだろうね。」
「空が青い理由ですか?確かプリズム反射が関係しているとかなんとか」
「違う違う。空が青かった理屈を聞いているんじゃないのよ。そんなものはもう意味がないでしょ。」
「じゃあ何を聞いてるんですか。」
「空が青くなきゃいけなかった理由よ。」
「はい?よく意味が分からないです。」
「だからさ、世界から青色が消えて3か月、もう人々はあの真っ赤な空を受け入れ始めてるわ。警察には期待できないってね。だから私もちょっと考えてしまうの。青でなければいけない理由ってなんだろうって。」
「先輩…、まさかもう青を探すのは諦めようなんて思ってないですよね」
「まさか。仕事だもの、きちんとこなすわ。」
その時、屋上の扉が開いた。現れたのはまた別の新米警官。
「波鳥さん、こんなところにいた!上の方々から緊急の呼び出しです!」
あらら。
「ホラ先輩、言わんこっちゃない。」
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