盗まれた青

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「波鳥警部補、ただいま戻りました。」 署に戻り応接室の扉を開けると、そこには物々しい表情で警視庁の偉い方々が集まっていた。その中の一番偉そうなヒゲのお方が立ち上がる。 「波鳥君、急に呼びだしてすまなかった。」 「構いません。それで要件は何でしょうか」 「うん、実はね。君には森山勇の取り調べを行ってほしいんだ。」 「私がですか!?」 「ああ、君は若干30歳で警部補まで登り詰めた優秀な警察官だと聞いている。人選としては十分だろう。」 「お言葉はありがたいのですが、取り調べ担当は紀伊警部が行っていたはず。どうして私に回ってきたのでしょうか。」 偉い方々が顔を見合わせる。 「…君は紀伊君の部下だったらしいね。」 「はい。何度もお世話になった先輩です。ここまでスピード出世できたのも紀伊警部のおかげだと考えています。」 「その紀伊君だがね、さきほど倒れたのだ。やつにやられてしまったらしい。」 「え!?森山に何かされたんですか!?」 信じられなかった。あの熊にも似た大柄な紀伊さんが、小太り中年一人にダウンさせられるなどと。 「うむ、これが取り調べ中の映像だ。見てほしい。」 ヒゲさんがモニターに映像を映し出す。     
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