盗まれた青

5/15
前へ
/15ページ
次へ
「よう怪盗。そろそろ青色の居場所を吐く気になったか。」 「…行ったはずです警部さん。弁護士を呼んでください。それまでは私は何も答えません。」 モニターの中にはアメコミヒーローみたいなスーツを着た男、怪盗モリヤマがいた。3か月着替えさせてもらえなかったのだろうか。 「おいおい別に意地悪で呼んでねえんじゃねえよ。ただな、どこにもいねえんだよ。青色のスーツが真っ赤になったせいで、弁護士はみーんな検事に転職しちまったのさ。まあ自業自得だな。青色が戻ってくりゃ弁護士だって戻るかもしれねえけどよ。」 「…。」 「ふぅ、だんまりか。まあいい。今日は最終兵器を持ってきたのさ。おい入れろ。」 紀伊さんが合図をすると、ワゴンに乗って何かが運ばれてくる。 「あれは何ですか?」 ミズキはヒゲさんに尋ねた。 「あれはな、かつ丼だ。」 「え?しかし一通りのカツ丼はもう試したはずでは…。」 「あったんだよ。試してないカツ丼がな。紀伊君は知り合いの三ツ星シェフを訪ねてわざわざ作らせたのさ。聞いて驚け。その値段、なんと8000円」 「は、8000円ですか!?」 信じられない。お店で食べるカツ丼の10倍はするじゃないか。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加