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シンと静まり返る脱衣所でカチャカチャとベルトの金具が良く聞こえる。ズボンとパンツを一緒に下ろし、彼にしがみついたわしの足から抜く。
同時に靴下も脱がせてわしは先に風呂場へ。浴槽の縁に腰かけ、腕を組んで待つ。
疲れからか眠気が襲ってきて、大あくびを1つ。その間に衣服を全て脱いだ彼がやってきて扉を閉めるとシャワーを手に取った。
「おっと。そんなに眠いのなら、もう寝た方がいいんじゃないんスか?明日も早いんだし」
「わしに口答えするでない。ん……熱い、少し下げろ。冷たいっ!さ、下げ過ぎじゃ、馬鹿者!うぅっ……」
「っ!……すみません、手が滑りました。これぐらいがちょうどいいッスよね。じゃあ、頭を洗うんで目を閉じていてくださいッス」
眠気で体がグラついて、危うく浴槽の中に落ちるところじゃった。が、彼がとっさに肩を抱いて支えてくれたおかげで後頭部強打は免れハッと目が覚めた。
湯加減を見るために足にかけてくれるシャワーのお湯が最初は熱すぎ、次は真水。わざとじゃな?
冷たい水が出ているシャワーをつかんで彼の方に向け、彼は頭から真水をかぶった。ざまぁみろ、じゃ。
無表情で何も言わないのが腹が立つんじゃが、反論もせぬか。最初からわかっていたはずの温度に設定すると、わしが目を閉じたのを確認して温かいお湯を頭にかけていく。
力が強すぎず、爪を立てないよう気を付けあっという間に髪を洗い終わると、次は体。
せっけんをつけたタオルを持ってわしの首から順に下に向かって優しく洗っていく。その間わしは、やっぱり眠いので彼の肩を支えに掴んでいた。
全くの無表情。ほぼ毎日のこと、数年も続ければそりゃあ慣れるじゃろう。
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