期待に膨らむ

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 俺は1日、香さんは5日も寝込んだ。深く反省しています。すみませんでした。  けれど香さんは「別に謝る必要などないわ」と、ベッドの中でモゾモゾ。恋人になっては初めての夜、愛し合う行為。何も気にすることなく素直になれて良かった。  そう言って頬を赤く染めていた香さん。3日でほとんど、歩けるほどまでに回復していたんだが。  なぜか「仕事に行きたくない」と駄々をこねてさらに2日の有給休暇を申請。ただの人間である副市長の心労やいかに。  夕食に特大の揚げが乗ったキツネうどんを作って食べていると。香さんがジィーッと、しかも何も言わずに俺を見つめていた。 「実は少し揚げの味付けに失敗して濃く辛くなってしまいましたが、やっぱり不味いッスか?」  うどんの上には昔のガングロギャルを彷彿とさせるような黒い揚げ。うどんと一緒に食べなければ辛いと感じるほど濃くなってしまって、病み上がりなのに申し訳ない。  狐ゆえに揚げには強いこだわりがあるので何か文句を言われるんだろうと待ち構えていたが。目が合うと香さんはキョトン。 「ん?いや、何でもないわ。椀の中で絞ってやれば出汁と馴染んで美味いのじゃ」  どうやら、俺を見つめていたのは無意識だったようだ。あんな熱い視線だったのに無意識とは、一体何を考えていたのか。  気になる所だが、またうどんを食べ進めてはたまにぼんやりしている。少し様子を見ていよう。  明日こそは仕事に行かせる。副市長から「そろそろ休暇を取りたい」と涙声の電話があった。謝って、礼を述べ、必ず出勤させると約束。  飯の後は風呂に一緒に入って、風呂場で2度交わり。寝室に移動してさらに2回。
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