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俺の手を握ってベッドの前まで来ると香さんはクルッと振り向き、ドスッと体当たり。くらいの勢いで抱き着いてきた。
「き、聞いておったのか……」
「はい。とても愛らしく、これは俺も本気にならなければと思った次第ッス」
あぁ、耳が真っ赤っか。俺の胸に埋められる顔は隠されて見えないが、熱い。きっと、耳以上に赤くなっているのだろう。
あまり筋肉のない細い体を抱きしめ返しゆっくり頭を撫でてやる。すると、いなり寿司のような茶色い髪からピョコンッと同じ色の耳が飛び出した。
ん?視線を下げれば羽織っている俺のシャツの裾からフサフサの、茶色の尻尾が揺れている。心なしか、触れ合っている下のあたりが熱いような。
「しませんから。今すぐ寝てくださいッス」
「なぜじゃっ!あと1回くらい、よいではないか!」
「そう言っていつも1回では済まなくなるじゃないッスか。結果朝までかかって、起きられなくなるのは香さんなんですよ?」
「む、むぅ……嫌じゃあ……したい。緋桜が欲しいのじゃ。せっかくの緋桜の子種、全部出してしもうたし。たった4回では足りぬ。のう、またナカに――あっ」
まったく。どこでそんなワザを覚えてきたのやら。甘える声で縋りつく香さんから、甘い香りが漂って俺の鼻孔をくすぐる。
わざとなのか、潤んだ瞳で見つめられると鼓動が早くなる。俺の方が頭半個分背が高いので、上目遣いだし。
背伸びをして俺の唇に触れようとしたので、強く腰を抱きしめた。香さんの背中が反るほど強く、そして大きく口を開けて上から食らいつく。
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