期待に膨らむ

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 何となく、怖い。茶色い狐と何かがあったのか?あの日から数日が経っても、モヤモヤの違和感はなくならぬ。  帰宅し、毎日のセックスはちゃんとする。緋桜の甘い香りも感じるし、ちゃんと快感も得ておる。緋桜がわしを愛してくれているという実感もある。  なのに。突然動きが止まってしまうことがある。「緋桜?」と声をかければ「なんでもありません」と我に返って、隠すように激しくなる。  気にはなるが追究ができぬ。イラつく緋桜の、怖い顔を見てしまったから。  わしがトイレから戻ってきた時、気付かれぬように忍び寄って驚かせてやろうと思ったのじゃが。 「チッ!何で香さんは……あんなやつ……有り得ない…………クソッ」  心底震え上がった。1000年を生きたこのわしが、すくみ上がったのじゃ。ベッドに腰かけて、悪態を吐きながら頭をガシガシ掻きむしる緋桜。  わしが何かしてしもうたのか?何か気に障ることを言うてしもうたのか?考えても、何も思い当たらぬ。  わけのわからぬ状況に心臓がバクバク鳴って、その音で緋桜に気付かれるかもと思った。じゃから思いきって、両手を伸ばし飛びついてみた。 「ひーおーうっ!来週じゃが、例のシオン君に――っ!!」  その瞬間、グルンッ!と世界が回った。わしは首をつかまれてベッドの上に組み敷かれる。親指が気管を締め付け、喉が「ヒュッ」と鳴った。  痛い。苦しい。なぜじゃ?なぜ、愛するわしにこんなことをするのじゃ?
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