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猫屋敷悠一さんに新しい恋人ができたのだという。それも、白猫の擬人化種の男の子。歳の差は16歳。
どうやって巡り会ったのかは知らないが、香さん曰くそれは「運命じゃ」らしい。猫屋敷さんが付き合っていた若い人間の女の子をフッてしまうほどに、強く惹かれた白猫。
何かちょっとした事件があって、それに香さんが関わって。俺は香さんから何度か話を聞いていた。
どんな子なんだろうと興味はある。その、白猫の子に香さんが招待された。ちょっとしたパーティーを開くのだと、香さんは俺も参加するように言って。
送り迎えの車を出すついでに、新参者の白猫の子を見てみようか。香さんが心配だし。香さんが、白猫の子にいらぬちょっかいを出しそうなのが心配で。
俺は胸の奥にあるわだかまりを、かつてあの人を閉じ込めていた檻の中に押し込んで車を出す。
あの日、香さんのあの寝言の意味はわかっている。香さんは前にドクトルとそういう関係にあった。だからその名残がまだあるんだろうと、今は俺がいるのだから大丈夫。
そう自分に言い聞かす。けれど、腹の奥底でドス黒いものが渦巻く。醜い嫉妬だ。
またいつか、俺が知らないところで香さんが俺以外の男に足を開くのではないかと不安になる。そういう人だから、香さんは。
だから、そうならないうちに俺とたくさん交わって。俺以外考えられないように心にも体にも覚え込ませて。そして、俺から離れられないように……
「楽しみですね、真藤君!こうして、プライベートでお誘いがあるのは初めてなので、すっごくワクワクしていますよっ」
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