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「いやいや、就職については悠一と話をして決めたいんで。あ、マグロにはこのワサビをどうぞ」
19歳の大学生だというシオン君は将来、どんな仕事に就くのだろう?この子なら何でもできそうだが。あぁ、建設業やスポーツ選手など、男らしいのは似合わない。
というより、華奢で綺麗なので筋肉がつくともったいない気がする。猫屋敷さん、ぜひとも穏やかな仕事を勧めてやってください。
シオン君が俺達に用意してくれたのは手巻き寿司。海苔、酢飯、具材が用意されていて自分で作れるようになっている。
俺はマグロとカニカマとイカを選んで、巻こうとしたら目の前にワサビと書かれた緑色のチューブが差し出された。
あー、えー……うーん。俺、23歳の大人でも実はワサビが苦手なんだ。だから「いえ」と目を反らして、手巻き寿司を完成させ口に運ぶ。
「俺もワサビ食えないんで、一緒ですね!」
うっ!ピュアって恐ろしいな。驚いた顔のシオン君がそう明るく言ってくれるが、かなりグッサリきた。いいんだ、ワサビなんか食えなくても生きていける。
そう言い聞かせて食べるワサビ抜きの手巻き寿司は、自分で作るからか美味い。あぁ、唐揚げももらおう。
シオン君が作ってくれたいなり寿司も自分で作る手巻き寿司も良いが、俺は肉が食べたい。本庄さんしか手を付けていない唐揚げの山からいくつか拝借。
すると、今度は目の前に怪しい大きな唐揚げが突き出されてきた。
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