ぶれいこう

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 見ろ。本庄さんと香さんは大爆笑だぞ。「自業自得じゃ」だの「情けないわねぇ」だの、腹を抱えて笑っている。本庄さんなんか写メを撮っているし。  よく見れば本庄さん、顔が赤い。手元には空になったチューハイの缶が転がっているし。  あぁ、あんなにグビグビ一気に飲んでは悪酔いする。歩いて帰らせますよ?大丈夫、あなたはジャガーなんですから。もし襲われても逆に襲い返すでしょう?  黄色い目からは大粒の涙がボロボロこぼれ、真っ赤になった鼻からは汚い鼻水が垂れ流し。駆け込んだ台所のシンクでモザイクを吐き出し、激しく咳き込んでいる。  そんな猫屋敷さんの背中を指さして、俺はせせら笑っているシオン君に顔を向けた。 「あんな大人になってはいけませんよ?」 「大丈夫ですよ。あれは大人じゃなくて、悪ガキなんで」 「ゴッホゴホゴホゴホッ!ちょっとシオン、聞こえてるぞっ!うぅ、ゲホッゴホッゴホッ、ウエェェッ……」  おっと。これはもうすでに、猫屋敷さんがシオン君の尻に敷かれているということか。見た目に反する頼もしさだな。  このパーティーが終わるまでにあと1回くらいは何か仕掛けてきそうな、全力で口の中を洗い流している猫屋敷さん。  俺と彼は昔、夜の街中でバッタリ出会った。彼は車を持っていないので徒歩。俺も、香さんに拾われて日が浅い時で気分転換に散歩をしていたので徒歩。  猫屋敷さんは信じられないくらいの、極度の方向音痴。ゆえにその日も家に帰れずに徘徊中。
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