真藤緋桜

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 香さんの「色んな体位でヤりたい」というご要望の元、どこでそんな知識をつけたのか望む体位でヤったんだが。疲れた。  心身ともに疲弊して、出るものも出なくなるほど。けれど香さんはまだ元気で。長く生きた分経験豊富らしい香さんは素晴らしいテクで俺の息子を叱り、奮い立たせたんだ。  タチとしては1か月くらいはシたくないくらい、疲れた1日だったのを記憶している。  ある意味、1000年もの時を生きたキツネの擬人化種の名は伊達ではない。現実ではありえない力に目覚めたが、性欲まで増さなくてもいいじゃないだろうか。  それに、香さんはバイだ。男も女も愛せる。いや、愛こそはないが女を抱くし男に抱かれる。  背は高くはないが細身で顔が整っている。そして表向きの性格は良い。香さんの正体を、本性を知らない人間の女どもにモテる。  ゆえによく彼女を作っている。休暇を作ってデートをしたり、外泊をしたり。  楽しそうに“恋人”をする。が、飽きたらそこで終了。香さんお得意の記憶の操作で彼女の記憶を消してしまう。  香さんはただ、面白そうだからという単調な理由で告白にうなずく。彼女の方は本気で将来を考えて結婚まで楽しみにしているというのに。  小さな子供が、大好きで毎日遊んでいたおもちゃを、ある日突然楽しくないと捨てるのと同じ。  香さんにとって彼女は遊びのおもちゃ。そして俺も、それは同じ。ただ、俺の場合は立場が逆転しているし関係はずっと続いている。 「俺のウインダーインゼリーを食わせてしまったし、腹が減った……」
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