猛禽類の野性

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 人間としている時の高宮正宗という男は、擬人化種としての時の彼と同一人物とは到底思えないほどの、マトモ。口と態度は悪いが、マトモ。  この世界で生きていくためのカムフラージュだろうが、香さんはそれを利用しているに過ぎない。  擬人化種が楽しく暮らしていけるように。生活の場所と仕事を確保するために。正宗が引き継いでいる会社で、他の擬人化種が働けるように。そして、正宗も1人の擬人化種としてこの街で暮らしていけるように。  香さんは擬人化種達をこの街に誘っては、この街から出られないように縛り付けている。  この街にいれば生活が保障される。他の街ではそうはいかない、人によれば迫害されることもあるのだから。この街にいれば、この街だから、この街でなければ。  そこまで深くは考えずに、外からやってきた擬人化種は香さんの手を取るんだ。  俺は最近、香さんが「擬人化種の幸せのため」以外にも何かを考えているような気がする。たまに、フッと暗い顔をするから。  今は聞かないけどな。もう少し、様子を見ていようと思う。何か悩みがあるなら俺を頼ってほしいが、言わないということはそれほどのことでもない。もしくは、俺には言えない悩み。  後者だと複雑だがな。押し倒して、両手両足の自由を奪ってまで聞き出そうとは思わないさ。その悩みに正宗が関わっていれば、そうせざるを得ないだろうが。
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