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正宗は一時的だったが香さんという名の豪華な獲物の味と、精神を狂わすほどの強い力に溺れた。力を求めている。
カースト1位になることを夢見て、力を求め自分より上の擬人化種を襲っては喰らっている。要注意人物。
こいつこそ、香さんの監視下に置いて牢屋にでもブチ込めばいいんだろうが。狙われている香さんの近くに置くこともできないので仕事以外では決して会わないということで自由の身となった正宗。
いっそ殺してしまえばいいのに。擬人化種だからと、香さんは手を下さずに生かしている。
忘れたくても忘れられない、香さんが死を感じたあの日を思い出して震えている。必死に俺の首にしがみついて、過呼吸。
早く、どこか人気のないところに降りて休ませないと。俺は耳元で風がビュウビュウ鳴るのも、鉤状の鋭い爪で抉られた背中や、毟られた翼の痛みも気にならない。
とにかく香さんをと、腕に力をこめた。
「香さんは必ず、俺が守ります。指1本触れさせません。今度こそ……」
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