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「しーんどーくーん、そんなに“ユキちゃん”が気に入ったんですか?さっきからずーっと抱いているけど、私にも抱かせてくださいよ」
「あぁ、すみません。シオ……“ユキちゃん”はご機嫌ナナメのようッスね」
今日は珍しく早くに仕事が終わり、夕方に退社。香さんが、突然猫カフェに行きたいと言い出したので来ている。
白猫の擬人化種、ユキ・シオン君がバイトをしている。そして、昔派手な喧嘩をしてやったジャガーの擬人化種、本庄瑠奈さんが店長を務める猫カフェ。
俺が腕に抱いているのは、そのシオン君。もとい、白猫の“ユキちゃん”。この店で人気ナンバーワンだとか。
「ニャー……」
あぁ、猫らしい。やはり想像していた通り、美少年のシオン君は白猫の姿でも綺麗だ。
細身で、艶がある毛は滑らかで絹のように純白。耳の内側は薄いピンク色だし、水色のクリクリとした目が宝石のようだ。
とても不服そうに俺を見上げているが。今日は客として来ているんだ、しっかり接客してほしいな。
右腕で抱いて、左手で顎の下や耳の後ろを掻くように撫でてやる。するとユキちゃんは気持ちいいのか、目を閉じて喉をゴロゴロ。ハッ!と我に返って、ツーン。
これがあのシオン君だと思うと、可愛くてたまらない。ちやほやしたくなる。猫屋敷さんが惚れ込むのもわかる気がするな。
守ってやりたい衝動に駆られる。猫屋敷さんもきっとそうなんだろう。だがシオン君は、猫屋敷さんのどこに強く惹かれたんだろうか?
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