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あのオッサンを。猫屋敷さんを見つめるシオン君の目は優しく、熱く、幸せに満ちていたな。
あぁそうだ、ツンデレだからってスーツに爪を引っかけて破ったりしないでくださいね?そんなことをする子じゃあないんだけれど、さっき爪が引っかかって焦った。
「お客様ー、こっちのマンチカンもいかがですかー?生まれて2か月、短い足で懸命に歩くんですよー?ほらほらっ」
「えっ!?あ、ちょっと、そんな子猫……あっ、香さん!」
「じゃあ私がユキちゃんを!よいしょ……っと、ほほう。猫なんて久々に抱きましたが、いいですねぇ。可愛いですよ、シオ、ユキちゃん。パートナーがいなければ連れ帰っていたのに」
「市長さん、うちはペットショップじゃないんですよ。連れ帰ることはできませんので、悪しからず」
俺がユキちゃんにデレデレだったので、嫉妬したらしい。香さんはもちろんのこと、店長の本庄さんが。
俺の腕に小さなマンチカンの子猫を押し付けると、すかさず香さんが手を伸ばしてきてユキちゃんを強奪。ただの猫に興味はない。
そんなこともはないが。三毛猫のマンチカン。幼すぎるつぶらな瞳で見つめられるともう、何も言えなくなってしまう。
断じて、ショタコンロリコンではない。けれど俺は、子猫だとか子犬だとか子供の動物が無償に可愛くて好きで。ついついデレっとしてしまう。
というか香さん、ユキちゃんを持って帰ろうとしないでください。スーツの中に入れようとしていたので、そこは本庄さんが般若の笑顔でニッコリ。
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