48人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
今夜も、この猫がニヤリと笑ったような細い三日月を眺めながら浪漫飛行をしようと約束していたんスけどね。
でもまぁ、これはこれで、この街にいる新しい擬人化種を確認できたってことで。彼を見つけて捕獲……説得したら、またドクトルに連絡して検診してもらいましょう。
そしたら、浪漫飛行をしましょう。風邪をひかない程度に、たくさん話をしながら。
俺が香さんに出会う前、どんな暮らしをしていたのかまだ話していないのでその話もしますよ。俺がこの街に来たのは、実は川を流れてきたんだって。
いや、泳げないんだ、鳥類だから。俺の羽根を狙って襲ってくる人間から逃げまくっていたら川に落ちてしまってな。隣の隣の隣の街からずっと、川をドンブラコドンブラコ……
で、気が付いたらこの街の河原に打ち上げられていたってわけだ。情けない、格好悪い話だが。笑ってくれますか?
それから、俺が初めて擬人化した時のことも話したいです。香さんは俺の醜い嫉妬を受け入れてくれたから。
もう何も隠さないで、むしろ俺のことを全部知ってほしい。だから俺も、香さんの全てを知りたい。それこそ、擬人化種の始祖だという香さんが初めて擬人化した時の話とか。
俺が知らない香さんの過去。いつか、教えてくれますか?
あぁでも。1000年分の全ては多すぎるんで、かいつまんで。時々、気が向いたらでいいんで。
最初のコメントを投稿しよう!