爆走ワンコVS暴走ニャンコ

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「“俺の”って、わざわざ強調したでしょ!?もう信じらんないこの男!というかあなた達、まさかこの店を見に来たなんて言わないでしょうね?」 「えぇ、若い部下に紹介してもらったんですよ。ほら、割引券も持ってますよ」 「お、男2人でとか、なかなか勇気があるわね。あたしも、職場の若い子に紹介してもらったのよ。本当はミキ先輩と一緒に来るはずだったんだけど、急な仕事が入っちゃってね」  他の客や町行く人達の視線を集めて我に返った本庄さん。つかまれている両手を振りほどくと、スカートを直しながら立ち上がった。  男とぶつかって、別の男に殴りがかったところで受け止められて。大声を上げればそりゃあ注目の的だ。  へぇ、あんたが?俺が言えたことじゃないが、似合わない。若い女の子を気取ってるんスか?もうすぐ30でしょう?  ヒラヒラの、可愛らしい薄いオレンジのスカートに小さいキラキラの飾りがついたヒール。上はじゃれ合っている猫2匹がプリントされたシャツにデニムのジャケットを羽織って。  世間一般的に言えば「可愛い」って言われるんだろう。黙って、動かなければ。素材だけは綺麗な方に入るんだろうがなぁ。  本庄さんは元レディース様だからな。割とつい最近まで続けていたから、今でもキレると人格が変わる。眼力だけで殺せそう。  カーディガンじゃなくてデニムのジャケットなのが、本庄さんらしい。ボコボコの金属バットを持たせれば「姐さん!」と呼ばれること間違いなし。
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