爆走ワンコVS暴走ニャンコ

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 似てるんだよな。昨日出会った不思議な、あの男の子と“事故マニア”が。足が速いってことが第一だが、すぐに姿を消してしまうのも。  …………同一人物だったりして、な。まさかな。  女性2人で来る予定だったのか。ドタキャンしたらしいミキ・アルノアさんは本庄さんの友達。そして警察。今日は休みのはずだったが、なにぶん上役なので緊急招集がかかったんだとか。  彼女は警察なので人探しには持ってこい。なので昨日、香さんはあの男の子を探すのを頼もうと言った。  職業的にも、彼女の性格的にも、種族的にも。彼女ならすぐに探してくれるだろう。なにせミキさんは、ドーベルマンの擬人化種。  警察かつ警察犬、なんてな。昨日、あの男の子が流した血を拭ったハンカチと、染み込んだ土を持って帰っている。嗅覚が鋭い彼女に渡そう。 「犬、ですね。しかもあの子はたぶん――」  3人で店へと足を進めていると、悲鳴が上がった。遠くで女性の、続いて叫び声や歓声が聞こえてくる。何だ?  振り向くと、ものすごい遠くから何かが走ってきているらしいのが見えた。土煙を上げて、避ける間も気づく間もなく跳ね飛ばされる人達。  人間の膝くらいしか高さがないそれは、1匹の犬。 「あーーーーっ!!あれ、あたしの愛車を傷物にした“事故マニア”よっ!!ここで会ったが百年目、とっ捕まえてギッタンギッタンにしてやるんだから、きゃあっ!」  と本庄さんが息巻く間に、ビュンッ!と駆け抜けた。瞬きの前まではずっと遠くにいたのに、瞬き1つの間に俺達の後ろだと!?
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