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わしにもプライドがある。緋桜にも、誰にも譲れぬものがあるじゃろう?それを曲げさせられれば、怒りもする。わかる、じゃろう?
わしは擬人化種の始祖じゃから。わしにしかできぬことをやる、やりたい。
「すまぬ」
長い長い沈黙の後、とりあえず謝らなければと絞り出したセリフがこれじゃ。
何とも力のない弱々しい声。本当は、できれば顔くらいは向けて彼を見つめながらハッキリ言うつもりだったのじゃが。失敗。
わしは、わしが思っている以上に心が弱いのじゃな。
背を向けたまま、小さく吐き捨てるように呟いたその言葉を、緋桜はどんな風に受け取ったのじゃろうか?特に気にすることもなく、聞き流した?
緋桜に限って、それはないな。当たりか。反応をうかがっていると、思ってもみなかった声が聞こえてきた。
「いえ。お疲れのご様子、今日は早めに休みましょう。明日、仕事が終わったらあの公園に行ってみましょうか。気になるのでしょう?行って、俺達なりに考えてみるんス」
「えっ?あ、いや。その…………そう、じゃな。刑事で言うところの、現場百回。あの子の気持ちになって考えれば何かわかるやもしれんな」
「アルノアさんにも連絡を入れましょう。病院で事故マニアに遭遇した話をした時に、明日は非番だと言っていたので。本業の方がいた方がいいッスよね?」
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