ワインの色味香りを上回るほどの

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 危うく、煮込みハンバーグが焦げ付いて台無しになるところじゃった。  わしと緋桜で一緒に作った特大の、火が通るにはかなり時間がかかる煮込みハンバーグ。コトコト煮込んでいる間に緋桜に抱かれておったのじゃが。  ベッドに行く時間も惜しいと、キッチンの床で激しく求められた。いつにも増して情熱的に、何度も何度も。  あらゆる体位で、まるでわしを隅々まで貪り食うようじゃった。あまりにも緋桜に余裕がないので、心配になって「どうかしたのか?」と声をかければ。  緋桜はキョトンとした顔で「何も?」とだけ。うーむ。何かを隠しているようにも見えなかったが、まぁ、気持ち良かったからいいか。  晩御飯を食う前に腹がいっぱいになったので、さらに続けようとした緋桜を制して風呂へ。  お互いの体を洗えば、やっぱり緋桜が我慢できなくなって2回応じた。おかげで、予定よりも3時間も遅れて食べ始めた煮込みハンバーグは少し苦い大人の味になっておった。 「――何ですか、これは?」 「ワインじゃ。緋桜はこの前、シオン君にお呼ばれした時に酒を飲めなかったじゃろう?それどころか、緋桜はいつもわしの運転手じゃから会食でも飲めぬ」 「お気遣い、痛み入ります」 「そもそもわしは、緋桜が酒を飲んでいるところを見たことがないが。苦手じゃったか?」
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