ワインの色味香りを上回るほどの

3/21
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
 大人な味の煮込みハンバーグを食べ終わった後、緋桜と晩酌をとワインのボトルをゴトンッとテーブルに置く。グラスも2つ用意して、食器を片付け終わった緋桜の腕を引いた。  2人でソファーに腰かけ、ワインのコルクに手をかける。  正直な話、ここだけの話。わしは、緋桜が酒に酔ったらどうなるのかを見てみたい。わしは酒に弱いのは自覚済みで、今日はたしなむ程度。  もしかしてザル?ボロボロ泣き出すとか?それとも絡んでくるタイプ?あ、乱暴になる感じは嫌じゃな。人格が変わるくらい乱暴になって体を強要されたら……  う、それはそれで、良さそうな気もするが。ちょっと乱暴にされてみたい気もするが。酔いがさめた時に緋桜が落ち込みそうじゃのぅ。  あとは、寝てしまうか体が異常に真っ赤になってしまうタイプか。どのタイプでも、見てみたい。  あぁ。酒を飲む機会がないからせめて、家では自由に飲ませてあげたいというのはもちろん本心。  市長として会食に呼ばれた時はいつもそばに付き添いでいるが、運転手ゆえに飲めない。早々に酔い潰れてしまうわしを介抱する役割があるしのぅ。  そんな緋桜の様子をうかがえばいつも、酒を注ぐことはあっても飲むことに興味はないようじゃった。仕事だと割り切っておったのやもしれんが。  緋桜の口から、意外な言葉が聞こえた。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!