48人が本棚に入れています
本棚に追加
それ以外は彼曰く「贅沢な食事」をしているんだけど、普通に考えれば全く贅沢じゃない。
手前数日ずっとウインダーインゼリーばっかりだったし、明日は晩御飯に「贅沢な食事」を用意してあげよう。そのためには明日こそは早く仕事を終わらせないと。
私はいつものように車に乗り込み、シートベルトをつけるとゼリーを口へ。ジュルジュルジュルジュル。今日の晩御飯、10秒で終了。
これを開発してくださった人間には感謝。忙しすぎる私や彼、それから世の中のサラリーマンの強い味方。
彼も車に乗り込むと、ゼリーのパウチを口に咥えたまま後ろを確認しながら駐車場から車を出す。
この車は彼の愛車。私はどうしても自分で運転するのが怖くて免許を取らない。それに、彼が車を持っていればいいかなって。
だって、私と彼の家は同じ。いわゆる同居。
「あぁ、ころふぁひえひこああっふぁみふぁいえふえ。みひをふぁえまふ」
「あぁ、この先で事故があったみたいですね。道を変えます?さすが、よく見えますね。私にはパトカーのランプすら見えませんよ」
どれくらい先に事故現場があるのか、そのよく見える赤い目で事故を捕らえた彼はハンドルをきって右折。
しかし、ゼリーのパウチを咥えたまましゃべるとか器用な。これもよくあるので、何と言ったのかがすぐにわかってしまう自分に笑えてしまう。
私が10秒で終わらせたのを、彼は少しずつじっくり味わう。しかしそれも数分で終了。ペッタンコになったパウチは私が回収してビニール袋へ。
彼の視力は人間の10倍近く、約1キロ先のものも見えるんだとか。視力の調節はカメラのフォーカス調節のよう。
最初のコメントを投稿しよう!