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Barリバイバー
『いらっしゃいませ、お客様。』
重い扉が開くとそこに待つのは幻想的な雰囲気が広がるバー。
『こちらへどうぞ』
促されるままにカウンターへ座る。
『突然降ってきましたね。』
バーテンダーの新井優人が声をかけると同時にコースターとナッツ、温めたタオルを出してくれる。
『ようこそ、リバイバーへ。本日はどなたかのご紹介で?』
『いえ、突然の雨に降られたもので。』
『なるほど、それは災難でしたね。私も出勤の時にこっぴどく降られてしまいました。』
『さて、ご注文は?』
『いきなりの雨で憂鬱になった心を晴らせるような、すっきりしたのが飲みたいかな。ミントを使った何かをお願い。』
『あ、あと乾いたタオル頂けるかしら?濡れた鞄と本を拭かなくちゃ』
『かしこまりました。』
タオルを渡し、砂糖 小さじ1 ミントの葉 数枚をグラスへ入れクラッシュドアイスを入れラムとライムジュースを入れステアする。
『お待たせしました。モヒートでございます。』
手元へグラスが寄せられる。
一口、なめるように少しだけ口に入れる。
『モヒートって言うからもっと強い感じなのかと思ったら案外飲みやすいのね。美味しい。』
『どうです?憂鬱な気は晴らされましたか?』
にこやかに、冗談めかして聞いてくる新井に笑顔で最高と返す。
『それは何よりです。モヒートと言うと名前から若干強いお酒をイメージされがちですが、ロングカクテルの中ではかなり度数も低いため、こちらをお出ししました。』
『なるほど、一杯で酔ってしまったらつまらないものね?』
『いえ、そんなつもりで言ったわけではございませんが、まあ2杯3杯とご注文いただければと言う思いも少なからず。失礼いたしました。』
『いや、いいのよ。意地悪しちゃったわ』
『実はお出ししたモヒートですが、アーネストヘミングウェイはご存知でしょうか?』
『ええ、もちろん知ってるわ。老人と海の作家よね。』
『その通りです。そのアーネストヘミングウェイが愛飲していたといわれているカクテルがダイキリ、それとこのモヒートでございます。先ほど本を拭いていた姿からこちらを作らせていただいたのです。』
『へぇ、あのヘミングウェイがね。』
『ええ、ヘミングウェイも憂鬱な気分を晴らすために飲んだのか、カクテル言葉は<<気分を晴らして>>きっと今のお客様のような心境だったのでしょうね。』
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