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捨てていいといわれたので恋人を捨てたら、その弾みなのか、恋人は飼っていたペットのハムスターを捨てるといいだした。僕は彼女には動物を捨てるような人になってほしくなかったから、捨てないでくれ、とハムスターの代わりにすがった。
けれど結局恋人はハムスターを捨てるという決定を覆すことをしなかったので、ハムスターは僕が引き取り育てる羽目になったが、考えてみると僕はハムスターが捨てられるのが嫌なのではなく、捨てた恋人がハムスターを捨てるような人であることが嫌だっただけだったことに気づいて、僕もハムスターを捨てた。
そしたらその後恋人から連絡があってよりを戻そう、と提案されて、僕はすぐさま賛成したが、ハムスターを捨ててしまったことを伝えると、恋人は捨てた恋人から引き取ったハムスターを捨てるような人とはやっていけない、といって、一本の電話の間で僕とよりを戻し僕を捨てることになった。
捨てられたハムスターは今どこにいるのだろうか。きっと捨てて捨てられた僕らとは関係ないところで上手くやっているのだろう‥‥
という話を捨てられる直前、滑り込みで恋人に語ってみたら、彼女は泣き出して捨てる捨てられるなんて決定に縛られた関係なんてうんざり、とさけび、電話を切った。
僕は恋人の意図がわからず、とりあえず二時間自宅で待機して、そのあと恋人の家へ向かったが、恋人は捨てたハムスターを飼っていたケージを玄関の外に出して、そのなかにハムスターの代わりとおぼしきサボテンをいれてあった。
僕はケージの中からサボテンを取り出し、たまたまポケットに入っていた自転車の鍵と入れ換えた。サボテンは帰り道、粗大ゴミ置き場に捨てた。たぶん分別を間違っているけど気にしなかった。
捨てるとき足元をなにかが走り抜けた。たぶんネズミだ。流石に捨てハムスターってことはないだろう。
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