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「……んっ」
「気がついた?」
目の前の女性を見て、もう1度グッ!とサムズアップを決める。
白い長衣に、息をのみ見惚れてしまう見事な金の刺繍が施されたペプロスと呼ばれる服を纏い、金色の槍、そして金細工の施された丸い盾。そして金の兜から溢れる腰まで伸びる銀色の髪。
「アテナ?」
「あら、どうして分かったの?」
思わず呼び捨てにしてしまったことを気にも止めず、アテナという名前を肯定した女神は、いつのまにかティーセットを用意し、わたしに椅子を勧めてくれた。
「どうぞ」
「ありがとう」
椅子に腰掛けたわたしに、紅茶を勧めてくれた。
うん、いい香り。わたしはお茶にはうるさいよ。
「落ち着いたかしら? それで、どうしてわたしがアテナだって分かったの?」
「そりゃ、有名ですから分かりますよ」
「あら、そんなにわたし有名なの?」
「そりゃもう。女神様の知名度で言ったらベスト3には入るんじゃないかな?」
入ると思う、多分。
ちなみにわたしの中で残り2柱はアフロディーテとアマテラスだ。
「そう、そんなに有名なんだ」
アテナは口元を緩ませて優しく微笑んだ。
へえ、戦いの神とも言われるアテナがあんなに優しい笑顔をするんだね
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