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―Ⅶ―
翌日は、マトリオとワーナリッツェの旅立ちの日で、グレイフェイシアとゲイトとミネットは、朝食を終えると、王城の東にある馬車回しへと向かった。
そこではすでに、準備が整っていて、カナミアとヘレインが、馬車の外で待っていた。
ほかの者は皆、馬の傍らに立ち、マトリオたちを待っている。
ともに来ていたボーリンは、折りを見て、カナミアとヘレインに、相談の手紙を出すと話していた。
少しして、マトリオとワーナリッツェと、昨夜のうちにリンデンベール城から出てきていた、永任(えいにん)騎士コルトレイが荷持ちに荷を任せてやってきて、カナミアたちと挨拶し、グレイフェイシアたちと別れの挨拶を交わした。
「道中、お気を付けて、楽しんできてください」
グレイフェイシアの言葉に、笑顔で頷いて、マトリオたちは、馬車に乗り込む。
出発する一行を見送って、グレイフェイシアは、ゲイトたちと修練室へ向かった。
今日から、修練室は4ヵ所になる。
グレイフェイシアは、鉄の間から順に結界を張っていき、集まった者たちを振り分けて、修練させた。
昼まで、部屋をひとつひとつ回って様子を見て、異常がないことを確かめる。
自分自身の修練をすることはできなかったが、上達している者たちを見ると、心が浮き立った。
昼からは、シャリーナの町に出て、彩石殿を見に行った。
位置は、王城前広場に面していて良かったが、それほど大きな建物ではなかった。
グレイフェイシアは、王城付近を歩いて、どんな建物があるのか、初めて知った。
王城前広場に面したところには、異能判別をする彩石殿、軍の中枢となる国防館、裁判をする公正館、区長を集めて話し合いをする議事堂、国の仕事に携わる者たちが仕事をする、官吏館がある。
それら建物の裏手には、水汲み場がいくつかあり、集合住宅と呼ばれる民家が並んでいる。
西側に行くと、市が立っていて、食品から家具類まで、様々なものを売っていた。
一昨日に行った南市に対して、こちらは、西市、もしくは町の中心地にあるため、中市と言うらしい。
南市は、市の立っている広場は大きかったが、店の数では、中市の方が勝っているようだった。
広場を埋め尽くすように、骨組みと布だけの店が連なっていて、通路は、大人が5人、並んで歩けるかどうかというところ。
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