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―Ⅷ―
翌日、昼から玻璃の間へ向かうと、ジェファーが、見知らぬ男と、部屋のなかで待っていた。
「本日は、王女殿下がお求めになりました、図面をお持ちしました」
グレイフェイシアの執務机の上で、早速確認してみると、シャリーナの壁のなかの、土地利用計画図と、リンデンベール城近辺の、土地利用計画図で、基礎修練場、応用修練場とも、大まかな場所を指定してあった。
「そしてこちらが、ボルゴ様からご提案のあった、各修練場の図面です」
「これは…お父様の計画では、基礎修練場は、シャリーナ城の東になっているけれど、ボルゴの図面にあるのは、北ね」
「はい。その点につきましては、ボルゴ様のご提案を用いる方向で、修正しておりますので、また明日、改めて図面をお持ちします。取り急ぎ、開発後の土地の様子が判るものをと、お持ちしました」
「そう、ありがとう。シャリーナの街を、水路が通るようになるのね。リンデンベール城は…こちらは、川が流れるの?待って、ここは…池?」
「然様でございます。畑のための溜め池ですが、こちらで、火の応用修練ができるよう、整備させていただきます。水の応用修練は、川を使い、風の応用修練は、こちらの野原で、土の応用修練は、池の下の方、川の上流付近を利用するようになっております」
「地図にはないようだけれど、道は…造るの?」
「はい。拠点となるリンデンベール城に向かう道と、各応用修練場に行き来できる道、そして街道に出る道です。大きな事業になりますから、整えるには、数年かかるでしょう」
「数年…。小規模でいいから、なんとか、基礎修練後に、間を置かずに、応用修練の何かを、することはできないかしら」
「それでしたら、基礎修練場に設けるよう、ボルゴ様より、ご提案がありました」
「そうなの。見せて…ええと、これは土ね。庭に何か造るのかしら、書き込みがあるけれど」
「そのようです。土と水は庭を、風と火は、建物の屋上を、小規模応用修練場としては、というご提案です」
「そんなに広い敷地があるの?」
「はい。それも、ボルゴ様が、北地区を挙げられた理由のひとつです。あちらは、相応の地位にある方々が居住される地区なので、大きな屋敷が集まっています。改めて、土地区画整理を必要としないので、民の負担が減じるだろうと、お考えのようです」
「民の負担…」
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