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「…私は…ミルフロトの民に広めたいの。でも、お父様はまだ、結論を出されていないのだと思うわ。お父様のお許しがなければ、動けないわ」
「承知しました。それでしたら、王女殿下には、ミルフロト国内の知識が必要と存じます。地形のこと、各区内の統治について、各区の周辺状況、国王陛下とご領主方との関係などですが、すでにご存じのことでしょうか?」
「いいえ…知らないわ」
カベンリーは頷いた。
「地形については、地図をご覧になるとして、そのほかのことは、確認してまいります。しばらくお待ちいただけますか?」
「ええ」
「あともうひとつ、私も修練をしたいのですが、よろしいでしょうか」
「ええ、構わないわ。明日の朝、あなたの属性の部屋に、来るといいわ」
「ありがたく存じます。では、失礼いたします」
カベンリーは、そう言って部屋を出て、ミスリーは、図面をまとめて机に戻る。
グレイフェイシアは、何をするか迷って、ボルゴにもらった、シャリーナ内の詳細地図を見ることにした。
応接用の机に広げて、ボーリンと、この辺りに行った、行かなかったと話す。
そうしていると、カベンリーが、ジェファーを連れて戻ってきた。
ジェファーは恭しく腰を曲げて、言った。
「国王陛下より、王女殿下に、ミルフロト国の内情を説明するようにと仰せ付かりました。これより、お時間はございますか」
「ええ、あるわ。お願いね」
「では、執務机の方にしましょう。こちらの地図をご覧ください」
グレイフェイシアが執務机に向かって座り、ジェファーが地図を広げるなか、カベンリーは一礼して、退室した。
「さて、ミルフロト国の統治ですが、簡単に申しますと、国王陛下の下に、国政を分担する大臣たちがおりまして、ミルフロト国を領地ごとに分けた区に区長を置き、中央と地方を結んで、行っております」
「領地」
「はい。まず、ミルフロト国は、近隣の領主から尊崇を集めておられました、初代ミルフロト国王陛下に領地を預ける形で始まりました。ミルフロト国は、複数の領主が治める土地の集まりなのです」
「んん、続けて」
「はい。そのご領主方と国王陛下を結ぶ役目を負っているのが、区長たちでして、区長が各地で、土地の管理を行っております」
「ええ」
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