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固唾を飲んで男が語る話に耳を傾けた。
「──俺は二次元の世界から此方の三次元の世界に飛ばされたアトラティス国の第二王子、リュースという者だ」
「………」
「…あの、訊いている?」
「………はぁ」
「続けていいかな」
「……どうぞ」
「馬鹿らしい話だと思っているんだろうけど本当の話なんだ。三次元の人間が作り出した二次元という世界ではありとあらゆるのジャンルの世界観やキャラクターが生み出されていて、三次元の人間が知らないところで大きく増殖、発展、成長している。俺の住んでいるアトラティス国も数多あるファンタジージャンルのひとつの王国なんだ」
「……」
「その国の王子である俺には二歳上の兄がいて……まぁよくある話、王位継承権争いというのに巻き込まれていて、兄側の魔法使いに猫にされてこの三次元の世界に飛ばされてしまったんだ」
「……」
「俺が猫から人間に戻れるのは満月の夜の数時間だけ。朝になって次の満月が来るまでまた猫になってしまう」
「……」
「だから人間になっている間になんとかこの魔法を解いて国に帰らなければならないんだ」
「……」
「兄に……兄上に国は任せられない。俺がなんとかしなければアトラティス国は崩壊してしまう!」
「……」
ど
ど
(……どうしよう! この男、絶対おかしい!!)
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