猫を、拾いました。

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電波男、妄想男、オタク──兎に角危ない奴だ。 (やっぱり警察に行った方がいい!) 私は男の話に真実を見出すことが出来なかった。 だってどう考えてもおかし過ぎる。そんな話、ありえない。 夢の中の話だと思い込んで訊いていても、どうしても本能が【おかしい!】と警報を鳴らしっぱなしなのだ。 「──ということで君には俺が人間に戻れる手助けをしてもらいたいんだ」 「……あの……ちょっと……コンビニ、行ってもいいかな」 「え」 「買い忘れていた物があったのを思い出して……帰って来たら改めて話し合いましょう」 「……」 さりげなく財布と携帯電話を手にしてそそくさと男の前から立ち去る。──が、ガシッと男に腕をつかまれて押し倒された。 「ダメ」 「!」 「逃げようとしてるよね? ダメだよ。──逃がさない」 「~~~っ」 先刻までの明るい喋り方からうって変わって、低く冷たく発せられた言葉に背筋が凍った気がした。 「俺を、助けて」 「っ!」 耳元で切なげに囁かれると同時に押さえつけられた腕が微かに痛んだ。 男の目は真剣だった。ほんの少し憂いを含んだくすんだ深緑の瞳が淡い光を放つ。 「お願い…。酷いこと、したくないんだ」 酷いこと──というキーワードにゾクッとした。
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