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(あ……今夜から明日にかけて天気悪そう)
電気屋にディスプレイされているテレビ画面に映し出されている天気予報を観て何となくホワイトクリスマスにならないかな、と思った。
(ここ数年、クリスマスに雪って降っていないよね)
そんなことを考えていると「ごめん」といいながら真理が私の元にやって来た。
「ううん。それより大丈夫?」
「えーっと……実は急にこの後大学に顔を出ことになってしまって」
「そうなんだ。じゃあ今日はこれで帰ろうか」
「……」
「真理?」
私の顔をジッと見つめたまま真理は何かいいたげな表情をした。
「どうしたの? 真理」
「えっと……実は今夜……ホテルのクリスマスディナーを予約していて」
「え」
「そのまま宿泊ってコースを考えていた」
「……」
(嘘っ!)
まさか真理がそんなクリスマスデートを考えてくれていただなんて。
「だけど月夜があっさり『帰ろうか』っていうから」
「あっ、それは! だって大学の用事でしょう? 大切な! それなのにダダこねて『嫌だ』なんて私、いえない」
「うん、解っている。月夜はそういう性格だよな」
「……」
物わかりのいい彼女を装っているけれど……
(本当は、本音では寂しい! 残念! って思っているのよ)
でも真理にとっては大切な用事なんだもの。
(我がままなんていえないよ)
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