491人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ真理、今度の休みの日に実家に行かない?」
「ん、別にいいけど何かあったの?」
「あのね、仔猫がいるの!」
「仔猫? それってまたアトラティスから何か──」
「あぁ、違う違う。そっち方面の仔猫じゃなくてね、空我の友だちの家で生まれた仔を一匹もらったんだって」
「へぇ……」
我が家では【猫】というキーワードはどうしても【アトラティス】を彷彿とさせてしまう。
「最初お母さんは飼うことに難色を示したんだけど、いざ家にその仔猫が来たらもう可愛くて可愛くて仕方がないって」
「記憶上、猫を飼ったことがない状態になっていても心の何処かでは覚えているのだろうな、お義母さんは」
「そうだね…。お父さん──リュースにしてもリウスだったティスパルにしても一番世話をしていたのはお母さんだったから」
「そうなのか? リュース王はそうだとしても、ティスパルは月夜が世話をしていたと思っていた」
「んー……なんか私の場合は世話をするっていうか世話になっていたことの方が多いかな」
「まぁ一応月夜の護衛のための変化だったからな。そっか、それはそうか……」
「あれ、真理? どうしたの、なんか顔が」
お風呂上がりの真理と就寝するまでのほんのわずかな時間の語らいの場で、急に真理の顔が不機嫌なものになっていった。
最初のコメントを投稿しよう!