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感じたままの気持ちを素直に吐露したり表情に出たりするから私にとっては解り易くなって嬉しいという気持ちが大きかったのだけれど。
「ねぇ、真理」
「ん」
「今夜は……真理が欲しいな」
「え」
少し甘えた声でしなだれかかってみた。真理は一瞬にしてカァと赤くなった。
お腹が少しずつ大きくなって来てからは深く繋がる行為は極端に減っていた。
それは主に真理が私を気遣って我慢してくれているのだと知っていたからそのままその好意に甘えていたのだけれど……
(私だって時々は真理にドロドロに甘やかされたい時があるんだから)
それは今みたいに遠回しな嫉妬心を感じた時とか、他の男性のことで拗ねた感じになった時とか、そんな些細な時にあぁ、抱かれたいな──とつい思ったりしてしまうのだ。
(真理が素直過ぎるから私も素直になりたいって思っちゃう)
「ねぇ、ダメ?」
「ダメって……いいのか? 体、大丈夫なのか?」
「うん。お医者さんも適度なスキンシップはいいっていってたよ」
「俺の場合適度なって感じにはならないかも知れないが」
「いいよ、真理の好きにして」
「月夜……」
気持ちのまま思いっきり甘える仕草をすると真理はすぐに機嫌を直す。
先刻まで浮かべていた暗い表情は一転、私でさえ見惚れるくらいに艶っぽいものになっていた。
「月夜、頑張って手加減するから思いっきり愛させて?」
「うん……大好き、真理」
そうして私たちは甘い夜を惜しみなく堪能したのだった──……
月夜の魔法使い 番外編2(終)
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