魔法使いの弟子の結婚

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「おまえが拾ったのはおそらくエグフォーゼの卵だ」 「え……エグフォーゼって」 「おまえも名前ぐらいは訊いたことがあるだろう? 人と鳥類のハーフであるエグフォーゼ族。元々生殖器官を持たずに無精卵状態で産まれて来る種族だが、稀に有精卵が産まれることある。おまえが見た三日月のマークがそれを示していると思われる」 「……」 「実際希少種で滅多にお目にかかれるものではないが、文献によれば有精卵に宿った命は拾った者の一番大切な者や愛おしい者に姿形を変えることによって生存確率を高めるといわれている」 「! それは──」 「まさに其処で眠っている者の姿が物語っているな。生き残るためには拾った者に好かれる必要がある。その手っ取り早い方法が好ましい者への変化」 「……な……な、な……」 「つまりおまえは姫様を想い慕っている心を見透かされたという訳だ」 「わぁぁぁぁぁぁー!!」 あまりの恥ずかしさに私はその場に座り込んでしまった。 心の何処かで本物の姫様ではないと解っていた。 (解っていたはず……なのに……) 安心した気持ちと落胆した気持ちが入り混じりどうしようにもなく居た堪れなくなった。 「ど……どうしよう……」 「何が」 驚愕と恐ろしさで震えながら言葉を発しているというのに、ディガはいたって冷静な口調のままだった。 「これから先……どうしたらいいのですか……姫様を──彼女をどのように扱えば……」 エグフォーゼ族に関する知識が乏しいままに体の関係を持ってしまった今、一体どうすればいいのか途方にくれた。
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