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「なんだ、そんな些末な事を悩んでいるのか。阿呆だな、おまえは」
「なっ! 何故そのような軽口を──」
「妻として娶ればいいじゃないか」
「………は?」
ディガの言葉はあまりにも突然のこと過ぎて頭の中が真っ白になってしまった。
「エグフォーゼの有精卵は拾われた人物の理想のままに成長するといわれている。初めは何の感情もないただの人形だが拾い主の性格、あらゆる感情や態度などの情報を取り入れどんどん成長して行く」
「……そんな」
「全てが拾い主の思うままに成長するということがいいのか悪いのかわたしには解らんが、エグフォーゼ族とはそういう種族なのだ。だからその姫様そっくりの彼女はおまえが責任を持って妻として育てるといい」
「そ、そそそそそんなっ」
「丁度よいではないか。おまえはわたしが持って来た見合い話を片っ端から破談にして来たのだ。その原因が──まぁその者の姿を見ればおのずと理解したがな」
「~~~」
あまりにも恥ずかしくて俯いてしまう。
姫様に……リュース王の愛娘様にこんな邪な気持ちを抱いていたと露見したことがどうしようにもなく恥ずかしかった。
すると突然背後から声が聞こえた。
「いささか不満点はいくつかあるが……これはこれで面白いな」
「!」
その声、言葉に驚き振り向くと其処には今もっとも、最高に顔を合わせたくなかったお人が立っていた。
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