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「おまえがツキヨに懸想していたとは知らなかったぞ」
「あ……あぁぁ……お、王……リュース王よ、何故此処に!」
「いや、なんかいきなりディガから念が送られて来て『面白いものが見れますからおいでなさい』というものだから来てみたのだか」
「! デ、ディガ!」
「よいではないか。いずれは王にも知っていただかなければならないことなのだから」
「~~~」
混乱しつつも王の前で土下座して謝罪の言葉を捲くし立てた。
「まことに……まことに申し訳ございません! 月夜様を──姫様にこのような振る舞いをしでかしまして!」
「おいおい、ちょっと待て。其処にいるのはツキヨ本人ではないだろう? 別に俺に謝らんでもいいと思うが。──しかしまぁよくここまでそっくりに変化したものだ」
「……」
「余程ティスパルの想いが鮮明で強く真剣なものだったのだろうな」
「……王」
「いいんじゃないか? その娘と結婚したらいい。そうしたら俺も毎日ツキヨに会っている気になれるしな」
「……王よ……もしかしてその理由から婚姻の許可を?」
「い、いや、別にそればかりではないがな! 本物のツキヨはもう他の男のものだ。傷心のおまえがよいのなら、例え紛い物でもいいと望むなら結婚するがいい」
「……リュース王」
姫様の父であらせられる王からその言葉をいただけただけで私は身に余る程の幸せを感じたのだった。
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