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ベンチの後ろの茂みをかき分け鳴き声がしたと思われる付近を捜す。
「あ、いた」
其処には黒い猫がうずくまってミィミィ鳴いていた。
猫好きの私は堪らずその猫を抱きかかえた。猫は大人しく私に抱かれた。
「可愛い……」
滑らかな毛並みと緑色の瞳がとても綺麗な猫だった。
「野良猫……なのかな?」
猫がいた付近には猫以外何もなくて飼い猫かどうかの判断が出来なかった。
首輪をしていないので飼い猫ではないのかな? と思ったけれど、野良猫にしてはとても綺麗な毛並みをしていたのでますます判断は難しかった。
「ミィ」
猫は私の頬を舐めた。猫特有のザラついた感触が痛気持ちよかった。
「随分人に慣れているね。やっぱり飼い猫かな」
そう思いつつ、さてどうしたものかなと思案に暮れる。
ベンチに座って太ももに置いた猫は香箱座りをしてゴロゴロ喉を鳴らしている。
「本当に人懐っこい」
これは迷子猫だなと思い、とりあえずアパートに連れ帰って飼い主を探すためのチラシでも作ろうと思った。
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