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「その蜜月後、マラカが受胎せずに次の月のものが来たらまた新たな殿方を与えるということでご予約は一か月毎となっているのです」
「それは父親が誰かというのをはっきりさせる目的でもあると?」
「はい。王の父親が誰だか解らないなんてそんな汚点ひとつ残しておきたくありませんから」
「……」
(なるほど)
考えればそれは道理に合ったシステムではあるが、マラカという少女はそんな女主人のやり方に納得しているのだろうか?
身を置いている環境が環境だけに綺麗事はいっていられないのだろうが、でもやはりそこが気になった。
「ディガ様が考えられている疑問の数々、直接マラカに会って確かめられたらどうですか?」
「……」
(見透かされているか…。やはりこの女主人、只者ではないな)
「滅多に出会えない少女ですよ? 極力外にも出さないようにしています。それはそれは極上の箱入り娘なのです」
「……」
「ディガ様、ご予約ということでよろしいでしょうか? もっともジャンダ様がマラカを受胎させましたらキャンセルとなってしまうのですが」
(そういう意味での運試しってことか)
ここまで訊いてジャンダの思惑が理解出来た僕はある種の予感によって予約用紙に記入していたのだった。
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