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「ただいま」
「お邪魔します」
家に帰って来た私と真理は玄関で其々挨拶をした。しばらくしてお母さんが奥から玄関に姿を現した。
「あら、真理くん久しぶり」
「……ご無沙汰しています」
「ふふっ、相変わらず固い挨拶するね」
「本当真理ってお母さんには固いよね」
「……」
「こうやって遊びに来てくれるの嬉しいわ。──ん? 真理くん、随分背が高くなったわね。中学までは月夜と同じくらいだったのに」
「……はい」
「男の子ってやっぱり女の子より成長がのんびりなのね。きっとこれからどんどん男っぽくなるわね。愉しみだなぁ」
お母さんは真理の成長──というより、真理の成長に息子である空我のこれからの姿を反映して思いを馳せているような感じで、ある種の期待を込めた表情でうっとりしていた。
(そんなお母さんは置いといて)
「真理、行こう」
「あぁ」
私が先導して二階の自室へと向かって行った。
「後でお茶持って行くからね」
お母さんのそんな言葉に「ありがとうございます」という真理の言葉を背中で聞きながら(やっぱり固いなぁ)と思った。
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