05-昆虫

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05-昆虫

 熱帯雨林の奥、人類未踏の地に生い茂る巨木の洞に、小さな宇宙船が入っていく。音も光もなく、目にすら見えない。 「ご無沙汰をいたしております」  光学迷彩を解いて降り立ったのは、5センチにも満たない薄青い半透明の棒状のもの。それを迎え入れたのは、人類未発見のカマキリの一種だ。 「お待ちしていましたよ。お元気そうで何より」  棒状は、つるりと身体をくねらせて言う。 「地球は、あなたがた昆虫族という知的生命体がいらっしゃるから、つい安心して疎かにしてしまいますね」  カマキリは触覚を交互に振った。謝意と謙遜の表現だ。  理解を表すため小さく身震いし、棒状の宇宙生命体は続けた。 「ところで、今日はひとつ、ご意見を伺おうと思うのです」 「我々に答えられることであれば」  カマキリは首をかしげて見せた。宇宙生命体はわずかに身体を細長くし、これから少し大事なことを言うことをアピールする。 「地球の、人類という生命体を知的生命に認定すべきとの声が上がっています」  カマキリは触覚をビュンと上げ、ぐるぐると目を動かした。強い、強い否定。 「いけません。あなたがたは人類を過剰に評価しているところがあります」     
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