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棒状の身体をくの字にまげて、宇宙生命体が疑問を呈する。
「しかし、サンプルの解析結果では良好な数値を得ていますよ。知能は十分に高いはずです」
「確かに、スペックの低い生命体ではありません。ですが……彼らには致命的な欠陥が」
なんでしょう、と身体の透明度を高めた宇宙生命体に、カマキリは静かに告げた。
「感情、です」
「感情! 理性を持たぬものの行動原理!」
宇宙生命体はゼリー状の身体をこよりのようにねじり上げ、三倍近い身長になった。カマキリは、触覚の先を小さくこすり合わせる。
「はい。彼らは自己決定や世界認識に、いまだ感情を使用しているのです。彼らの浮かべる表情は、我々のように意志や計算結果を伝えるためのものではなく、感情の発露なのです」
カマキリの言葉を聞きながら徐々に元に戻った宇宙生命体は、まだねじれの残る身体の上部先端を小刻みに震わせた。
「では……、彼らの主催する戦争や略奪は『意思』を尊重していないということ、ですか?」
宇宙生命体の言葉に、カマキリはうつむいた。長い触角をだらりと下げる。
「……彼らは『意思』を知りません」
宇宙生命体は、電子レンジにかけたゼリーのようにトロトロと溶け崩れた。最大級の衝撃。
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