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10-理想の職場環境
服装に規定はない。俺は安物のジーパンとTシャツで、ぼさぼさの頭を掻きながらゲートを通る。いつもの受付にに掌紋を通して、いつものブースに入る。
中は薄暗くて、ちょうどネットカフェみたいなもんだ。もちろん自分で調節できるが、リラックスして過ごすのにちょうどいい明るさが自動設定されているとかで、俺はこの暗さが気に入っている。かなり狭いがトイレもブース内にあるから不自由はしない。きれいに掃除されて、においの出ない処理が施されている。
リクライニングの利く柔らかいソファに身を沈めて、肘掛の装置に改めて掌紋を通す。目の前の大画面に俺の名前が表示されて、ブースの外側が映し出された。興味はないから、すぐに画面を切り替える。内部のライブラリを開くと、ゲームや動画、漫画や読み物など、ありとあらゆる暇つぶしコンテンツの中から、俺の趣味に合わせたタイトルが選ばれて表示された。新作の映画が配信されたらしい。今日はこのあたりを観ながら過ごすか。
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