大師線

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
ほかのところでもむすめと見ていたのかもしれない。  カーブを右に曲がりきるとあとはほとんどまっすぐのようである。港町(川港でもあったのか)、鈴木町(鈴木さんでも住んでいたのか)とつづき、いわゆる大師線の川崎大師の駅である。ことごとくほぼほぼみんなおりていった。やはりみんな川崎大師に向かうのであろう。ずいぶんとさみしくなったものの、大師線は川崎大師をこえて電車はすすんでいく。むすめもおんなじようにだっこのままでいちばん前のけしきを見つめている。東門前(川崎大師の東門前なのか)、あれれ、だいぶん前にのったとき味の素のおおきい工場なんかあって、ふるい地図には味の素前、なんてのもあった気がする。産業道路(駅名なのに道路とは)、小島新田(新田開発でもあったものなのか)、これでおしまい、大師線は終点である。いったんはホームへおりるものの、いちばん前からいちばん後ろにいくけど、向きがかわるので、それもまたいちばん前になり、またおなじ電車にのって、ただもどるだけである。おなじようなけしきが逆からながれ、今度も川崎大師のホームはひとでいっぱいである。ごりやくあったのかないのかわからないが、電車はそれらのひとたちをのせてすすんでいく。おなじようなけしきはつづいていく。おなじようなけしきというよりかはおなじけしきの逆のながれかたである。逆なので、さいごは左にカーブして、京急川崎につく。川崎大師とはちがい、みんなみんな、ホームへおりていく。もちろんわたしとむすめもさいごのほうにおりていく。S字のレールもまるでわからなかった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!