217人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「されないよ。されるわけないだろう!」
秋川は、瀬田の詰問めいた言葉を笑い飛ばした。
実際に、何も起こらなかった。
『住のゑ』がバーである手前上、情報料?代わりに生ビールのグラスを注文したが、瀬田が好きなウイスキーの銘柄を水原から聞き出すと(比較的、手に入り易いのでホッとした)、その後で買い物もしなければならなかった秋川は、グラスの中身を干すと早々に店を出た。
痛くもない腹を瀬田に探られるのは不本意だったので、論破する。
「だいたい、付き合っている相手の親友が勤めているバーで、声掛けられてホイホイ応じるか?そんなことがあれば、リッくんが真っ先におまえに連絡するだろう?」
「・・・それもそうですね。スミマセン。変なコト言って。ただ、心配なんです。慎一さん、男にモテる自覚全然ないから」
瀬田のひいき目な言葉を、秋川は真に受けなかった。
亭主?妬くほど女房?モテず。というやつだ。
しかし、『住のゑ』が佐伯の行き付けだということは、敢えて瀬田に言うべきことではない。と秋川はそう判断した。
それにしても、瀬田は本当に美味しそうにウイスキーを飲む。
秋川の浮気疑惑?も無事晴れたからか、実に幸せそうな、満ち足りた笑顔につい釣られて秋川は、
最初のコメントを投稿しよう!