1 新しいルール

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 付き合い始めたからといって、いきなり口調が変わるのもどうかと思うので、瀬田の律儀さ故なのだろう。と考える秋川だったが、その割には、ヤることはそれなりにヤッてるんだよなぁ。とも思う。 アノ、丁寧な口調のままで。  年の差はほとんど関係ない。二歳差なんてたかが知れている。だとすればこれは、単なる個人差なのだろう。と秋川は考える。  今まで抑えてきた分を取り返すかの様に、瀬田は秋川に触れてくる。 恋人同士と称される二人が同じ空間で暮らしていたら、極当たり前のことだろう。  何も性的なことに限らず、ちょっとしたふれあい、スキンシップにも不慣れな秋川はその都度毎にドギマギして、その裏の意味を勘ぐってしまう。  そう、秋川は今までに付き合ってきた相手(片手で足りる)に対しても、余りベタベタしなかった。 相手も自分と同じ様なタイプだ。と当時の秋川は疑いもしなかったが、今となっては判らない。  我ながらアッサリしている。と思う秋川は、瀬田の情熱には驚き、戸惑うばかりだった。  コートデュローヌの赤は肉に、それも赤身の合うとされ、特にそのスパイシーさは黒コショウ香りにも例えられるので、それを用いた料理との相性(マリアージュ)が良いとされている。  今日の夕食は秋川が作ったのだが、肉は肉でも鶏肉で、親子丼だった。せっかくの瀬田のお土産も、夕食後までおあずけだった。
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