名もなき冒険者

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人に化けていた魔族に街を焼かれた、家族も死に絶えた青年がいた。年齢は20歳前後。  街を焼いた人(中身は魔族)と親しくしていた事により、何も出来なかった自分を責め、また力こそがすべてたど思うようになる。また、それにより人を信じる事と恐れ、極度に人との壁を作るようになった。それからギルドに属すことない放浪冒険者となる。    放浪2、3年経ったある時、迷い込んだ洞穴。そこを進んでいくにつれてかつて神族と魔族が戦った際、神族が魔族を封印もしくは消滅させる為のシェルターのような建築物のようだった。四方には長年放置により崩れ落ちた瓦礫、多くの蔦当が張っている。が、その下には数々の円陣の紋章が描かれている事に気づく。そんな室内を探検していくうちに、自分の進路先に、光が見え、そちらへ向かうと、視界が広がると同時に目の前にシェルターを突きつけ、聳え立つ大きな樹木が、目に入った。  すると、その樹木の方より弱々しく「誰かいるのか」という声が、聞こえる。その声の方をじっと見ると、樹木が縄のように入り組む間より 銀色に輝く二つの光が見える。すると再び同じ問いが繰り返される。 恐る恐るその樹木へ近づき、声の主の話を聞く。するとその主は長年神族に封印されていた魔族であり、六魔将帥の一人に仕え、右腕として力をふるっていたという。  だが、長年ここに封印され、魔力を樹木の糧とされ、どうすることも出来ず、長い月日が過ぎたとのこと。精根尽きた魔族は、自分を殺して欲しいと懇願する。その見返りに、お前の欲しいものをやろうと、ただ、自分は魔族。人間の思い通りにならぬ弊害も踏まえてのことだが良いかと彼に問う。彼は承諾し、「力が欲しい」と言う。  
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